• 良縁地蔵

ある日、村のお大尽のおかみさんがお寺に相談にきました。「息子に良い縁談があるのに、村の娘と仲良くなって、その娘を嫁に欲しいというので、どうか別れさせて欲しい」というのです。

和尚さんの「境内のお地蔵さまにお願いしてみなさい」という答えにおかみさんは地蔵院へ通って、息子が悪い夢から覚めるよう祈りましたが、息子はますます娘への愛を強めるばかりです。

満願の日、和尚さんは「悪い縁ならお地蔵さまが切ってくださるはず、今日一日よくお願いをしなさい」と申されました。おかみさんは熱心に祈りました。ところが拝んでいるうちに、村娘のよく働く姿や、素直なこと、優しい笑顔がつぎつぎと心に浮かんできて息子が最も良い人を選んでいたと思えてきました。

頭を上げると、石のお地蔵さまがにっこりと微笑まれ「ようやく分かったね。良い縁を切ってはいけないよ」という声がおかみさんの心に響いたのでした。